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看護の現場でも重視されるQOLとは?QOLを低下させる原因や向上させる方法を紹介!
2023年11月14日
厚生労働省が発表した「簡易生命表(令和4年)」によると、2022年の日本人の平均寿命は男性で81.05歳、女性で87.09歳でした。
しかし、せっかく寿命が延びても体の健康を損ない、不自由な状態になってしまうと人生の満足度が大きく低下してしまいます。
今回は看護の現場でも重要視されるQOL(生活の質)とはどのようなものか、評価方法や影響を与える項目、QOLを低下させる要因、向上させる方法などについて解説します。
QOLとは
QOLとは「Quality of Life」の略称で、日本語では生活の質などと訳されます。
QOLの考え方にスポットが当たったのは1970年代のことです。
看護・医学の領域において「QOL」は、「病気や加齢によりそれまで通りの生活ができなくなった人が、これでいいと思える生活の状態」のこととされます。
出典:理解しにくい医学研究用語
単純に寿命を延ばすのではなく、自分らしく充実した人生を送ることをQOLと考える人もいるでしょう。
QOLとSOLの違い
看護・医療の現場でQOLと対比される言葉にSOL(sanctity of life)があります。
生命を尊いものだと考え、どんな状況でも生命の維持を最優先するべきだという考え方です。
医療の現場ではどちらも重要な考え方ですが、安楽死などともかかわりがあるテーマですので、一概にどちらが正しいといえないのが実情です。
QOLの評価方法
QOLの評価に良く用いられているのが「SF-36」という評価方法です。
SF-36では、身体機能や日常役割機能(身体・精神)、身体の痛み、社会生活機能、活力、心の健康の8つの観点で対象者のQOLを測定します。
このほかにも、より簡便で5つの質問で判定できる「ED-5D」という評価方法もあります。
看護・医療現場では、こうした客観的な評価方法を用いながら、患者のWOL向上を目指しています。
QOLに影響を与える項目
QOLはさまざまな要素から成り立つ総合的な指標ですが、大きく影響を与える要素が3つあるとされます。
・心身の健康
・自立した生活
・社会との関わり
精神的・肉体的に健康であれば、自分のやりたいことができるため、QOLを高く保つことができます。
親しい人との関わりや仕事での充足感なども精神的な健康につながります。
自立した生活とは、経済面に着目した観点です。
明日の生活も不安に思う状態であれば、身体が健康であっても、QOLが高い状態とはいいがたいでしょう。
友人関係や家族関係、職場の人間関係などが良好であり、自分が社会と良い状態で関わることができれば、QOLを良い状態で保つのに役立ちます。
QOLを低下させる原因
QOLが低下してしまう要因としてストレスと運動不足があります。
それぞれについてみてみましょう。
ストレス
1つ目の要因はストレスです。
適度なストレスであれば、事態を前向きにとらえて「頑張ろう」と思えますが、過度なストレスがかかってしまうと、生活に対する意欲や関心が低下してしまいます。
すると、何をしても楽しめなくなってしまうのです。
運動不足
2つ目の要因は運動不足です。
運動不足になると、体力が低下してしまい、生活習慣病にかかりやすくなります。
体力が低下すると、ちょっとしたことをしただけでもすぐに疲れてしまうため、物事に意欲的に取り組む気持ちを持ちにくくなります。
適度な運動を行うことで、睡眠のリズムを改善したり、気分を前向きにさせたりする効果が期待できます。
QOLを向上させる方法
QOLが低下してしまうと、日々の生活を楽しめなくなってしまいます。
ここからは、QOLを向上させる3つの方法を紹介します。
食生活のバランスをとる
1つ目の方法は食生活のバランスをとることです。
心身の状態を健康に保つには、体力や健康の維持が不可欠です。
バランスが取れていない偏った食事は体調を崩す元です。
栄養バランスを意識した食事をとり、心身の健康を保つようにしましょう。
適度な休息をとる
2つ目の方法は適度な休息をとることです。
仕事の忙しさにかまけて、休息をとるのを後回しにすると、精神的にも肉体的にも消耗してしまいます。
消耗した状態で仕事を行えば、パフォーマンスが低下してしまい、仕事の質も落ちてしまうかもしれません。
どんなに忙しくても、しっかりと休息をとり、体調を維持するよう努めましょう。
睡眠時間をしっかりとる
3つ目の方法は睡眠時間をしっかりとることです。
生活リズムの中で特に重要なのが睡眠です。
十分な睡眠をとると、心身の疲れを回復させることができます。
睡眠がしっかりとれるようになると、食事を含む生活リズム全体が整いやすくなり、生活の質の改善につながるでしょう。
まとめ
今回はQOL(生活の質)について解説しました。
日々多くの患者と接する看護師にとって、患者の生きがいに直結するQOLは軽視できない要素です。
QOLは主観的な満足度であるだけではなく、複数の評価方法によって数値化できるものとなっています。
看護の場面では、患者の話と数値化されたSOLを見比べ、より良い方法で接するための指標として活用できます。